Mrs. Lamentの囁き

割礼/血と雫のギタリスト、山際英樹氏のギターが大好物♡

2019年01月

今月16日から9日間に渡り デュオバンド割礼・名古屋)→ バンド割礼・大阪)→ ソロ と続いた山際英樹さんの一連のライブが無事に終了。一息ついたらいろいろな感想や思いや考えが頭の中に湧き出して駆け巡って騒がしい。こりゃ早いとこ整理整頓しとかないと落ち着かないぞというわけで、山際さんのソロ演奏における特徴=魅力はなんぞやということを24日のソロライブを筆頭に過去のライブも振り返りつつ書き出してみた。
ルーパーによる淡々と繰返されるリフ
オクターバーによってぐいっと思いきり引き下げられた骨太で男前な低音
 しれっとした顔で響かせる凶悪なファズ(凶悪なれど理性的)※使うのは暴れん坊のFat Fuzz Factory。オクターバー+トレモロアームとの合わせ技は最高にエグい。
演奏の半分を占めるのは多彩かつ多層的な音響によって構成される、明確なメロディの無い楽曲。   ← アンビエント・ドローンやアンビエント・ノイズの趣きがある。
メロディは常に穏やかで優しく、時に流麗。旋律を聴かせる楽曲の場合はあまりエフェクターは使わず生音がメイン。かけてもディレイくらい。そこにあえて激しく力強い歪み系ノイズを重ねる大胆な合わせ技でドラマチックに曲展開させる場合もあり。
楽曲は具体的な物語やはっきりとした感情を描写するものではなく、心象風景の雰囲気や空気感を抽象的に表現している感じ。 ← これはクラシックにおける印象派音楽の特徴の一つにとてもよく似ている。
ライブ毎に必ず1~2曲の新曲が投入される。
一度演奏された曲や定番曲も毎回アレンジがガラリと変わるので、基本同じ演奏は一つとして無い。
曲と曲は間を置かず流れるように繋がっていくので、演奏全体で一つの作品として捉えることができる。
おおよそこんなところか。
これらの特徴は他の演奏形態では見られないか、あるとしてもとても抑えられた形あるいはごくごく一部の形でしか出てこない。アレンジが毎回変わるというのは割礼でもいつものことですが。

血と雫では生音の際立つ美しいメロディの曲はありますね。血と雫の楽曲アレンジは山際さんが担っていたので、バンドでも比較的山際色が強めに出ていたのかもしれない。

これまで山際さんの楽曲の雰囲気を例えるのに度々「アンビエント」という言葉を使ったが、「印象派」を持ち出したのは今回のライブが初めて。
最近アリス=紗良・オットの演奏による印象派ピアノ曲集アルバム『NIGHTFALL』を聴いているせいで頻繁に頭の中でドビュッシーやらサティやらラベルやらが流れているのだが、24日の山際さんソロ冒頭1曲目を聴いて「あら、ドビュッシーみたい!」と思ったのがきっかけで、山際さんの楽曲はひょっとして印象派なのかもと思った次第。上に書き出したとおり、調べてみたら印象派音楽と山際さんの楽曲には明らかに共通項があるし、山際さんご自身サティがお好きだと言及されているので、これはあながち間違っていないと思う。

大きく分けると生音主体の楽曲には印象派の趣きが、エフェクターを駆使した音響が主体の楽曲にはアンビエント・ドローン/アンビエント・ノイズの趣きが感じられますね。
(双方のコンビネーションもあるので明確に分かれるものではないが、傾向として。)

山際さんのブログによれば、ソロ演奏は自分自身のためにやっている様なところもあるとのこと。つまりソロが一番パーソナルな表現であるということだろう。そこに描かれるのは明らかに山際さんの内にあるいろいろに他ならない。作者/演者の心の内や本質が一番ダイレクトかつ遠慮無しに出てくるソロ演奏は他の表現活動の基盤でもあるわけで、やはり一番面白いし、一番刺激的なのである。

先週木曜日はハーネスで昨年11月以来3ヶ月ぶりの山際英樹さん(割礼血と雫)のソロライブ
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☆ソロ専用のSeymour Duncan ストラトキャスター。(でも内部の電気回路はテレキャス仕様。)

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☆エフェクターはいつものソロ定番セットですね。

これまでは攻めたインダストリアル・アンビエントな感じの曲でスタートすることが多かったので、まさかあんな流麗で美しい曲を冒頭に持ってくるとは思わなんだ。
陽光の中を流れる小川の流れを思わせるようなギターのリフ。暖色系の色が浮かぶ。ドビュッシーのような雰囲気もあるね。後半ここにオクターバーでうんと落としたちょっとウッドベース的な響きのある低音が仄暗く響いてアクセントになる。うん、これはまさに印象派だね。この印象派という部分、西脇一弘さんのギターにも感じるのだけれど、もしかして11月1月の山際+西脇デュオが山際さんのソロ曲にも変化を与えたのか?

この新曲では緻密なエフェクター使いのほか、ボリュームペダルを使ったバイオリン奏法、弦を擦ったり軋ませて作るノイズ、スライドバーを使った水琴窟のような音 
(割礼「君の写真」で使われているやつ) など様々な演奏法が取り入れられていて、この1曲に山際さんの多彩な演奏のハイライトが詰まっている感じだったな。
最後はディレイのサステインを使った時計の歯車の音や機械の駆動音を思わせるようなノイズを繋ぎにして次の曲に流れるように移行。これは映画の自然な場面転換のようで実に巧みな構成であり、とても印象に残りました。
(この部分を動画で再確認したところ、ギターをつま弾いたところにピッチを変えてディレイを掛ける → ディレイを踏んでホールドしたままルーパーのつまみを回してループ音をフェイドアウト → そのまま手でループ音を停止 → ルーパーのピッチを変えたうえでホールドしてある音をルーパーに記憶させる → タイミングを見計らって次のメロディを弾く という段階を踏んだ細かい手順になっておりました。)

この夜はエフェクターをあまり使わない生音が多かったでしょうかね。(使ってもディレイくらい。) 最後から2曲目ではトレモロアームを使いまくる激しい演奏や、最後のSummer Driveでは盛大に唸りを上げるファズやオクターバー+ファズ+トレモロアームの合わせ技重低音も健在でしたけれども、全体的にこの夜の歪み系の音は凶悪さ控えめ。まろやかなノイズのあるLittle Big Muffがメインで活躍して、ファズはスパイス的に使われている感じだったかな。ちなみに山際さんご本人によると
今回はその場の雰囲気で演奏しようかな、と思い、あまり決めずに臨む。結果、癒し的な音になったかも。
だそうである。(ご本人のブログより引用。元のブログはこちら。⇒ http://yamagiwa3.blog27.fc2.com/blog-entry-335.html 山際さんの気分がダイレクトに反映されたライブだったということか。この夜は穏やかな心持だったのか、はたまた穏やかさを求めていたのか。どちらでしょう。いや、どちらでもない?

今回ピックアップの切り替えによる音の変化がとても良く聴き分けられたのがちょっとした収穫。リアの方がフロントより太い音になるんだね。次回も気をつけて聴いてみようと思う。

今回もアームを動かした時のキュッキュッという摩擦音を上手くノイズとして取り込んでいたことも書いておきましょう。

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振り返ってみたら16日から24日までの9日間にデュオバンド(割礼)、ソロと3形態の山際さんのライブ4本がぎゅっと詰まっていた。こんな短期間に様々なスタイルの演奏を聴き比べることができ、結果いろいろと気づいたこともあって面白かった。で、これを機に山際さんのソロ演奏の特徴について考察してみたのでここにまとめようかと思ったが、あまりにも長くなってしまうので別項に譲ることにした。

現在告知されている次の山際さんのソロライブは6月1日(土)at 阿佐ヶ谷 HARNESS。京都のmoshimoshiさんの企画で頭士奈生樹さんとの対バン。頭士さんは2年前の京都拾得で割礼との対バンで拝見したが、なかなか面白い音響系のギターを奏でられたので、この対バンはかなり面白いことになるの間違いなしだわ。

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☆終演後革ジャンを着て黙々とお片付けをする山際さんがとてもかっこ良かった♪

名古屋の翌日は大阪は梅田、バナナホールの2階に移転した新生ムジカジャポニカで割礼のワンマン。今年2回目のライブがワンマン、それも新しいムジカでというのがとっても嬉しい~
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名古屋から近鉄特急で一緒に移動してきた友人はホテルにチェックインするというので難波駅で別れ、私は一足先に新しいムジカジャポニカの場所を確認しに行った。目指すはバナナホール。梅田駅からは商店街を通ってひたすら真っ直ぐ歩くだけなので、バナナホールはすぐに見つかった。が、肝心のムジカの入り口が見つからん。 バナナホールの前を何度も行ったり来たりした挙句、バナナホール受付の女の子に尋ねてみたら、入り口は商店街の方にあると言う。でもそれが無いんだわ。うー。 どうしよー、ってこんな時はお店のウェブサイトを見るに限る。すると“沖縄料理『轟屋』隣の赤いビル” と書いてあるではないか。あー、これかあ! よく見たらムジカの看板出とったよ。バナナホール+轟屋で覚えておくべきだったか。
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友人らと落ち合い、近くのお酒が豊富でお洒落な居酒屋さんで軽く食事をした後、ちょいと早めにムジカに並びに行った。しかし、どこに並ぶ?とりあえず階段を上がった所にある重そうな金属ドアの前に並んでみた。しばらくして中からドアが開けられたので入ってみると、そこには懐かしのムジカの姿が外観の雰囲気そのままに再現されていた。おお!懐かしい昔の街並みをそのまま再現したミュージアムみたいじゃないか! 内部だけでなく外側も残したんだね。素敵だなぁ。
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☆看板も元のまま!

これまでムジカの外では雨をしのげる場所が無かったから冷たい雨に降られると凍えてしまったけれど、ここなら風雨が凌げていいね。

室内も窓が無くなったのとトイレと楽屋の位置が変わった以外はほとんど同じ。すごい再現率ねー。

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さてさて、ライブは休憩を挟んだ2部構成で約2時間。本編11曲(第1部5曲+第2部6曲)+2回のアンコールで1曲ずつの全13曲。セトリは以下のとおり。名古屋との違いは「溺れっぱなし」と「リボンの騎士」の大曲2曲の有無。いずれも15分を越える重く壮大な曲がこれほど揃うのは時間のたっぷりあるワンマンならではです。
ー第1部 ー
光り輝く少女
Love?
悲しみのルシファー
散歩
溺れっぱなし

ー第2部ー
ストライプ
マリブ
快人20面相
- MC -
君の写真
Into
リボンの騎士

ーアンコール 1 ー
ゲーペーウー
ーアンコール 2 ー

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☆山際さんの手書きのセトリ

後ろの紅白幕も真っ赤なステージも室内の飾りや置物も全部以前のお店のまま。
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さて、この全てが以前のままの中で一番大きな違いは防音性でしょうか。旧ムジカでは開場前に外で待っている時に中のリハの音がだだ洩れでばっちり聞こえたものでしたが、新ムジカでは一切聞こえません。ということは内部は完全密閉されているわけで、割礼の凶悪な重低音も凶暴なギターのうねりも一切漏らすことなく内部で共鳴するわけなんですね。山際さんのブログにもそのことが書いてあるので引用しましょう。ちなみに元のブログはこちらです。⇒ http://yamagiwa3.blog27.fc2.com/blog-entry-334.html
PAはいつもの椛島君。音は以前と違い結構ドカンと出せる。リハでドカンとやったら棚から物が落ちた。
おそらく低音。共鳴しすぎるのか、鎌ちゃんが、Eの音が止まらん。と椛島君に助けを求めた。
物が落ちるほどに音が響き渡るってものすごい・・・ 
調整がなされたので本番ではさすがに物が落ちるようなことはなかったけれど、それでも鎌田さんの鳴らすベースのハンパない重低音には何度殺されると思ったことか。 「リボンの騎士」のベースなんて、ほんと凶器だわー。 名古屋では仏あるいは聖の松橋さんもムジカでは一転鬼神の如くドラムを叩く。友人は雷さまみたいだ!って言っていたけれど、それもありだわね。
・・・とここまで書くとさぞや耐えがたき轟音だったのではと思われるかもしれんが、不思議なことに最前列スピーカー近くなのに耳栓無しでも全然大丈夫。すべての音がきちんと聴きとれるし、ライブが終わっても耳鳴り一切無し。不必要な爆音にはしていなかったということなんだわね、きっと。この辺の音作りに対する細やかさと拘りには毎回感心してしまう。

新しいムジカはこれまで以上にステージと客席がとても近い。私の座った位置からだと手を伸ばせば簡単に山際さんのギターのネックに手が届く。大久保ひかりのうまに次ぐ近さだ。これだけ近いとエフェクター捌きはもとより、指の細かい動きまで一部始終が見て取れるし、ギターの裏から演奏が見えることもあるので、実にマニア魂がくすぐられます。最高です。← マニア大喜び。 名古屋ではモニターの陰に隠れて足元が全然見えなかったので、「そうか、ここではあれを踏んでいたのか!」だの「そうか、そこはそう弾くのか!」だの、ここぞとばかりに確認しつつ堪能いたしました。

2回のアンコールが終わってメンバーが楽屋に引っ込むとSEが掛かった。ああ、ライブ終わっちゃった・・・と思っていたら私の真横にある楽屋の引き戸がすーっと開いた。出てきたのは金髪の男性。(。´・ω・)ん? あー、金髪のかつらを被った松橋さんだぁ♪ ゴダイゴタケカワユキヒデですだってー ムジカが新しくなったから遊びに来たそうですよ。 ひとしきりタケカワさんの曲をアカペラで熱唱すると「ゴダイゴをよろしく。ついでに割礼もね。ついでかよ!」と一人ツッコミを入れて帰っていきました。 その様子を楽屋の入り口で面白そうに笑いながら眺めていた宍戸さんと鎌田さんと写メる山際さん。なんてチャーミングなんだろう、割礼の皆様は。つい今しがたまであんなすさまじい音を出していたのにねぇ。

今回は翌朝の仕事に間に合わせるために午前零時34分発のサンライズ出雲/瀬戸で東京に戻ることになっていたので、カレーを食べたりおしゃべり声はほとんど出ていなかったけどしたり。そして午前零時にお店をあとにした。帰り際に店長のせい子さんにクラウドファンディングに参加した時にいただいたムジカのトートバッグのお礼を言えて良かった。お店移転でお忙しい時に手描きのイラスト入りの封筒で送っていただいたのです。愛用してます。← 今回の遠征でも大活躍。
次回は大阪に泊まってゆっくりしたいなぁ。
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☆ムジカ・クラウドファンディングのトート。イラストは安齋肇氏。現ムジカの看板にもなっている。

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☆ムジカのチキンカレーも変わっていなかった♪美味しいなぁ。

先週土曜日は割礼の今年最初のライブを観に名古屋は今池にある得三に行ってきた。得三で割礼を観るのはこれで3度目か。今回は渚にてとのツーマン。
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約90分、本編9曲+2回のアンコールで1曲ずつの全11曲。セトリは以下のとおり。
散歩
光り輝く少女
悲しみのルシファー
ストライプ
君の写真
快人20面相
- MC -
Into
Love?
マリブ

ーアンコール 1 ー
G. P. U.
ーアンコール 2 ー

山際さんのセトリは写真におさめる前にどこかに行ってしまいました…

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☆宍戸さんのギターとエフェクター

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☆後ろは鎌田さんのベース

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☆ピンぼけの山際さんのギター

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☆山際さんの足元はディレイ2個の割礼定番セット

会場に入ると、ステージ向かって右端前方にダボさんがいらしていた。今夜もライブを録音されるのだわ。ご挨拶していつもの壁際の席に座ろうとするとダボさんが「今夜山ちゃんはいつもより奥に引っ込んでるから、そこだと見えないよ。」と声をかけてくださった。そうなのか。では、と椅子ひとつ分中央寄りのテーブル席に着いたわけなのだが、演奏が始まってみたら確かにこの位置でないと山際さんは右サイドのスピーカーの陰に隠れて見えなくなってしまう。ありがとうございます、ダボさん。ちゃんとしっかり見えました。

割礼の前回のライブは昨年12月のブラックナードフェスなのでほぼ1ヶ月ぶり。その間練習したのはこの週の火曜日に1度だけ。それなのに全くブランクを感じさせないこのまとまり具合とクオリティの高さ…ってこれはもう毎度のことなので言わずもがですな。聞けば鎌田さんが割礼のメンバーになってから早17年、山際さんは戻ってきてから16年くらいか?松橋さんに至ってはもう20年をゆうに超えているのだそうな。結構年季の入ってる夫婦くらいの年月をずっと一緒にコンスタントに演奏してきているわけで、そりゃ阿吽の呼吸が身体に染み付いていてもおかしくないわ。まさに継続は力なり。すごいね。

例えばあれは「君の写真」だったか、リズムがずれかけて、あれー、このまま進んじゃったらダメだよね・・・と思った矢先にささっと鎌田さんと松橋さんが目配せしたかと思ったら即座に修正されまして、あとはばっちりでございました。阿吽の呼吸で対応素早い!イメージ 7

今回のセトリの中で一番びっくりだったのは「Love?」かな。これ、元々セトリには入っておらず、時間の関係で急遽「溺れっぱなし」から差し替えられたのだそうです。確かに演奏直前に宍戸さんからメンバーに「次はLove? ね」と指示が飛んでいましたっけ。とてもゆっくりなバージョンで、ああ、今夜の「Love?」は遅いわねぇ なーんて思っていたら間奏で んんん??? え?なになに、なにこれ?!これまでと違うー!なんかこう自由にセッションしている感じだわよ。とりわけ山際さんのギターがいつにも増してフリーダムだったような。いつのまにかこんなアレンジを?! いや、間奏が毎回変わるのは割礼ではさして珍しくはないのだけれど、なんか違う。何かが違う。うーん、これは名古屋マジックだったのかも。

名古屋マジック。そう、名古屋の割礼はどこの割礼とも全然違うのだ。まず第一にお客さんがうるさい。いや、良い意味でよ、もちろん。 お客さんからメンバーに向かって「こうちゃ~ん」だの「まっちゃーん」だのと声が飛ぶことも、演奏中客席から合いの手が入ることも、松橋さんのMCにつっこみが入ることも名古屋以外では無い。往年のファンのおじ様たちがはしゃぐのなんのって。 「G. P. U.」ではステージ前でノリノリで踊っているおじさまもおられました。(それでも以前よりは少なくなったらしい。) 「G. P. U.」の時になんとなく後ろを振り返ったら、それまでニコニコと穏やかそうにライブを観ていた明らかに私より年配の男性が激しくヘドバンしていたのには焦ったわぁ。 宍戸さんも声が掛かるととても嬉しそうな笑顔になったりして、こういうとてもアットホームな雰囲気は地元ならではですねぇ。 このスペシャルでレアな雰囲気を味わいたいがために遠征してしまうのです。
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得三はお酒もお料理もおいしいので、兵庫から来た友人や地元のファンの皆様との久しぶりの再会を喜びつつ、結局午前2時半くらいまで盛り上がってしまったのであった。今回物販をお手伝いされていた土性さんとは素面なのにも関わらず今回ひどい風邪をひいていたのでお酒は飲めず、ものすごい熱さ/圧さで割礼と山際さんについて語りまくってしまったので、結局翌日は声が出なくなってしまいましたとさ。
なお土性さんの素敵なレポはこちらでございます。⇒ https://blog.goo.ne.jp/amigo-yumedream/e/e32682277c5fb06b3d21813af7da17b9

水曜日は西脇一弘さんの企画【ギターはわらっている Vol. 10】へ。Sold Outで超満員。
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先攻は山際英樹さんと西脇さんのギターデュオ。前回のワンマン同様、西脇さんのソロ曲を中心に最後は山際さんのソロ曲という構成。メインの旋律を弾くのは主に山際さんというのも同じ。自身のソロでは空間にタペストリーを編んでいくような重層的アンビエント色の強いギターを弾く山際さんだが、西脇さんとのデュオでは一音一音語るように情景を描く細やかなギターが印象に残る。
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それにしてもあんなロックな曲から始まるとは思わなんだ。のっけからびっくりした。 掴まれた。 特に前半部分が前回よりしんみりとした感じがしたのだけれど、山際さんのブログを読むとそれはあながち気のせいでもないようだ。

※西脇さんのツイートに演奏中の写真がアップされておりました。⇒ https://twitter.com/kzhironishiwaki/status/1085825506195365889

この夜の山際さんの足元。

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ソロで定番のオクターバーもトレモロやフェイザーも無く、ディレイも1種類だけなので、割礼の時の最小限セットにルーパーを追加した感じだ。
歪み系は全て揃ってはいるものの、ソロで見せる凶悪な顔はどこへやら。暴れん坊なFat Fuzz Factoryもこの夜は穏やかな音色で、スパイス的に少量が加えられていた。(ところどころで悪そうな片鱗は見え隠れしておりましたけれども。(*´艸`))メインで活躍したのは最近オーバードライブとして用いられているLittle Big Muff。これが骨太な実に良い音で鳴っておりました。

普段歪み系は使わない西脇さんもこの夜はブースターを導入。初めて聴いたけれど、西脇さんらしい品のあるとても穏やかで優しい歪みだったので、なんか安心した。

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お二人共全体的に抑制が効いていて、decent と呼ぶに相応しい品格のある音作りでした。

この夜初めて観た中村まりさんはオリジナルもカバーも全部英語曲。とても聞き取りやすい自然な英語だし日本人離れしたブルース魂もあるしでびっくりしたが、どうやらアメリカ育ちらしい。なるほどね。懐かしいアメリカの匂いを感じたのはそのせいか。納得。ブルースっていまいち苦手なのだけれど、中村さんの歌うブルースは泥臭くなくてとても良かったなぁ。聴き惚れてしまった。調べたら、パスカルズ原さとしさんが所属する Lonesome Stringsとも共演しているのですな。


アンコールは3人で中村さんのオリジナル「Black Eyed Susan」とLou Reedのカバー「Walk On The Wild Side」をセッション。山際さんが女性の演者とセッションするのってかなりレア。そもそもセッション自体ほとんど無いですもの。 夕飯抜いて駆けつけて良かった。
※セッションの写真が西脇さんのツイートにアップされておりました。⇒ https://twitter.com/kzhironishiwaki/status/1085826346914177025

中村さんの「ギターはわらっているというタイトルはどういう意味なのか?」という問いに「よく“ギターは泣く”って言うけれど、泣いてばかりじゃね…」と説明する西脇さん。ギターに対する深い愛情を感じました。

西脇さんのブログにリハとライブの様子が書かれている。西脇さんのお音楽に向き合う姿勢がとても真摯だなといつも思う。半分以上曲の長さが決まっていなかったのにはびっくりだ。時計で計らなくても持ち時間ピッタリにおさめられるタイム感。長年の演奏につよって培われた感覚によるものなのだろうな。お二人とも職人だなぁ。

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