Mrs. Lamentの囁き

割礼/血と雫のギタリスト、山際英樹氏のギターが大好物♡

2020年03月

3月3日から9日まで三省堂書店神保町本店の1階にある「いちのいち」で開催中のDaQuiseさんの個展に行ってきました。
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『モモ』、『地下鉄のザジ』、『華氏451度』といった小説がモチーフの作品や古いビンテージのパーツやガラクタを使った作品がいっぱい。DaQuiseさんの作る創造の世界に浸って心穏やかになりました。お客様を交えてのおしゃべりもとっても楽しかった♪ (. ❛ ᴗ ❛.)

今回一目惚れして連れ帰ったのは【美しいガラクタ~ブロカント】と題されたシリーズの中からこの2点。ブロカント(brocante)とは古道具や古道具市を意味するフランス語だそうです。そのタイトルどおり古い道具や部品たちが可愛らしいアクセサリーに変身しています。

こちらは古いドミノのネックレス。チェーンのエンドパーツにはシルバーのDominoの文字とアンティークのシャンデリアのパーツが取り付けられていて、前に垂らして身につけるととても素敵。
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木製のドミノはよく見ると両面に細かな飾りが彫られている。とても丁寧な仕事。
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裏にはシルバーでBrocanteの文字。見えない裏側にも拘っているのがとてもお洒落ね♪
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もう一つは「主役は箱 E.B.8121」という名のイヤリング。
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ドラムのように見えるのは時計などのパーツが入った古い小さな箱で、表裏にパーツの名前や管理番号が書かれてる。名前のE.B.8121はこの表面に書かれている番号なのである。同じ番号の作品は他にはない。片側はBrocanteの縦書き文字。これもアンティークのシャンデリアのパーツがアクセントになっている。ドミノのネックレスと合わせて着けたいな。
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裏側にさり気なくシルバーでBrocanteの文字が添えられているのも素敵だわ。
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箱は封印されて開けられないので中身の証明写真付き。barrel wheelという時計の小さなゼンマイが一つ入っている。壊して開けない限り実際に手に取ることはできない。でも存在しているのは音で分かる。写真も含めて完結する作品。
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これはケースにしまったままでは勿体ないなぁ。額縁のような収納ケースを見つけて飾って眺めて楽しもう。

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1983年から2012年までに作られた楽曲が収録された山際英樹氏の自主制作ソロ作品集『Octave 』。
私が山際さんの存在を知った2014年7月にはすでに入手不可になっていたので、多分2012年から2014年春までの間に発表されたと思われる。それを幸運にも先日ようやく入手した。

これ、ギタリストのソロ作品だからとギター演奏を期待したら肩透かしを食らうやつだわ。全9曲のうちガチでギターを弾いているのは3曲ほど。不穏な2曲目「Nightmare」とかめっちゃかっこよい踊れるダークテクノじゃないか。その次の「Steam」もフィールドレコーディングのサンプリングから始まるビートの効いたダンサブルなダークアンビエントテクノ!反復するビートはベースかね? 5曲目「Drips」に至ってはタイトルどおり延々と滴る水音に車の走行音やモーターや時を刻む時計を思わせる音が重なるインダストリアル・アンビエントな作品。

20代で作った曲も収録されているけれど、これらもやっぱりテクノの趣だ。7曲目の「Walk」なんてガムランみたいな鳴り物をバックに重低音のビートと多彩な機械音やノイズが散りばめられてていい感じのインテリジェンス・ダンスミュージックになってる。

テンテンコさんやΦononレーベルの音源が大好きな私がなぜ山際さんの作る音や音楽にこれほど惹かれるのか分かった気がする。共通項あるわ。(・∀・)

山際さんの普段のギター演奏とは全く違う一面と原点を知ることができるとても面白い音源集。こういうあまりギターがメインにならない音響系の楽曲だけで構成されたアルバムも新作でほしいなぁ。← マニアな意見(゚∀゚)

なお1曲目「侵入」は2015年発表のCD-R『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』収録の「Watet Front」のオリジナル・バージョン。オリジナルの方はギターが単音でシンプル。
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3曲目「Steam」の冒頭スチーム音部分だけが切り取られ「Crack」と名前を変えて『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』1曲目に収録されている。ちなみに「Steam」の方はこのあとグルーブ感のあるビートの効いたテクノへと展開。

4曲目「」は血と雫の1stアルバム収録の「gitarre instrumental #1」の原型。

昨年6月のソロライブでも演奏された9曲目の「夕暮れ(後半ギターが重ねられてだいぶアレンジが変わっていたけれど)。冒頭のギターが血と雫4枚目のアルバム『その雫が落ちないことを祈る』に収録されているギターインスト曲になんとなく似ているように思うのだけれど、ひょっとしてこれが元になったのかしら?あるいはここからインスパイアされたとか?どうだろう。

2月最後の割礼は三軒茶屋 Heaven’s Doorの恒例企画【Lyric Poetry】。
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宍戸さんがTwitterで1時間演奏すると予告されていたうえに、対バンがこれまた大好きなシクスシクスと、いろいろな方から絶対観ておいた方が良いよと言われていた噂の魚住英里奈だったので期待はいやがうえにも高まる。そしてその期待は裏切られることなく全部ばっちりツボにはまって良かった~。楽しかったわ~♪ (*゚▽゚*)

魚住さんは初めて観たのだけれど、なんかこう魂を削るような歌うたいの方だったな。脆くて壊れそうなのに切れ味鋭い刃物みたい。ギターの流麗さにハッとした。噂どおり要注目だな。

割礼は全6曲。ライブが押しまくっていたのでアンコールは無し。
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久しぶりに「マリブ」と「君の写真」聴けた~。「君の写真」なんて年に1度くらいのペースよねぇ。レアだわぁ。

ルシファーの悲しみ」は躍動感あったなぁ。音が跳ねてたものなぁ。割礼を見始めた頃(約5~6年前)はひたすら遅いというイメージしかなかったから、躍動感という言葉が出てくるなんて当時は思いもしていなかったわよねぇ。

それにしてもラスト曲の「オレンジ」は終わることなく一生続くのではないかと思いましたよ。多分これまで聴いた中で一番の長さだったんじゃないかな。めくるめく音の渦に飲み込まれて時間の感覚と共に五感も麻痺しかけたわ。もういっそこのまま現実に戻らんでも良かったわ。(*´ω`*)
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山際さんの足元。
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前々日の西脇さんとのデュオの時のセットのうちIbanezのオーバードライブZ-VEXのSuper Duperに代わっただけであとは全く同じ。割礼で山際モデルのINTERSTELLAR OVERDRIVEを見るのほんと久しぶり。丸みのある良い音鳴ってたなぁ。(*´ω`*)  エフェクターボードの中に2種類のスライドバーが置いてあったけれど、「君の写真」では長めの、「アキレス」では若干短めのを使い分けていた模様。(Twitterの方に「マリブ」と書いてしまったけれど、正確にはうえのとおり。間違えてしまった。。゜゜(´□`。)°゜。)以前聞いた話では短いスライドバーはコードが押さえやすいのだそうな。「アキレス」の方がスライドバーをつけっぱなしでコードを弾く場面が多いからこのサイズなのかしら。「君の写真」では小刻みなメタリック音が聴こえたけれど、これは水曜日の西脇さんとのデュオの時に現れた音に似ていたわね。デュオやソロで試された音作りがこうしてバンドサンドにも反映されていくんだなぁ。

2月はソロセッション、デュオ、バンドと三形態の山際さんのギター演奏を観ることができたとても贅沢で濃密な月だったな。そんな山際さん月間も終わってしまった・・・ちょっとロス・・・なんてこともなく、来月は森川誠一郎氏とのデュオが2本控えている。(19日のハーネスと28日のBar Isshee)森川さんとのデュオも最近はなかなかレアになりつつあるので嬉しい限り。山際さんは黒のMoonかはたまたクラッシックギターか。どちらにしても楽しみである。(*´∇`*)


2月の山際さんのライブは14日(金)16日(日)、そして26日(水)と28日(金)。2週に分けて2回の1日おきのライブ。それぞれセッションと割礼とデュオと割礼。バラエティに富んでてファンとしては何とも贅沢な月であった。これでソロがあったら完ぺきだったなぁ。(贅沢を言ってはいけない~ ( ̄ー ̄))

2月の日程3回目は下北沢 leteで11月以来の山際英樹西脇一弘デュオ。
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山際さんの足元はこれまでのデュオともソロとも全く違った組み合わせ。Z-VEXのファズとブースター両方がいっぺんに外されたのは西脇さんがZ-VEXのファズを使っている兼ね合い?今回ファズの役目を担ったのは割礼で常設中のRoger Mayer VOODOO-AXEでした。Ibanezのオーバードライブはレアだなぁ。これまでどの演奏形態でもほとんど見たことがない。前回から投入されたINTERSTELLAR OVERDRIVEはこのまま定着かしら?
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西脇さんの足元はこちら。ループを掛けるのはもっぱら西脇さんの担当になりましたね。
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今回山際さんと同じく西脇さんもアーム付きのストラトだったのもこれまでと変わった点。
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冒頭スライドバーを持ったので割礼でも良く聴くトロピカルな感じの音を予想していたら、細かな金属片が降って落ちて鳴るようなメタリックな音や電子パルスのような音が聴こえてきてびっくり。ソロや割礼の時にも鳴らされるスライドバーを使った水琴窟のような音ともちょっと違った新しい音。山際さんのソロ演奏では毎回こうした新たな音の発見があるなぁ。だからこそ興味が尽きない。
(↓ スライドバー使ってます。)
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後半西脇さんのギターからファズを使った電子音みたいなノイズが出ていたのにもちょっとびっくりした。西脇さんのギターは水彩画のように淡やかで繊細な音のイメージが強いので、こんなノイズを山際さんではなくて西脇さんが出していたのがとても新鮮。一方いかにも西脇さんが弾きそうな端正なメロディを山際さんの方が弾くのも結構珍しいなと思う。こうしたお二人の意外性のある関係性も面白い。それにしても一昨年11月の初めてのデュオ演奏からは随分と雰囲気が変わったなぁ。毎回新曲も披露されているし、お二人の進化/深化から目が離せないな。

ゲストはhofli名義でも活動されている津田貴司氏。
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津田さんの足元はこちら。ボリュームペダルとルーパーとディレイ2台。ERNiE BALLのボリュームペダルは山際さんと同じやつ♪ 譜面台に置かれているのは木材の軸にスーパーボールが取り付けられたお手製のバチ。これで弦を擦るとしゃらしゃらとさざ波だったような金属音が鳴る。
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即興でも星形の庭でもないソロ楽曲を演奏する津田さんのを観るのは数年ぶりかも。足元のエフェクターと指だけでなく、チェロの弓やスーパーボールを組み合わせて生み出される厳選された音はとても心地良くて浮世のうさを忘れました。前の週の星形の庭での演奏の時にも感じたけれど、津田さんのギターの音はテクスチャーが繊細で立ち込める馥郁たる香りのようだわね。( ꈍᴗꈍ) 

選び出された一つ一つの音を丁寧に紡ぎだしては重ねていく。音と音の隙間や余韻といった細部にまでもこだわりがある。そんなとことん気を配った音作りを得意とするギタリストの集った上質な味わいの一夜でした。

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