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1983年から2012年までに作られた楽曲が収録された山際英樹氏の自主制作ソロ作品集『Octave 』。
私が山際さんの存在を知った2014年7月にはすでに入手不可になっていたので、多分2012年から2014年春までの間に発表されたと思われる。それを幸運にも先日ようやく入手した。

これ、ギタリストのソロ作品だからとギター演奏を期待したら肩透かしを食らうやつだわ。全9曲のうちガチでギターを弾いているのは3曲ほど。不穏な2曲目「Nightmare」とかめっちゃかっこよい踊れるダークテクノじゃないか。その次の「Steam」もフィールドレコーディングのサンプリングから始まるビートの効いたダンサブルなダークアンビエントテクノ!反復するビートはベースかね? 5曲目「Drips」に至ってはタイトルどおり延々と滴る水音に車の走行音やモーターや時を刻む時計を思わせる音が重なるインダストリアル・アンビエントな作品。

20代で作った曲も収録されているけれど、これらもやっぱりテクノの趣だ。7曲目の「Walk」なんてガムランみたいな鳴り物をバックに重低音のビートと多彩な機械音やノイズが散りばめられてていい感じのインテリジェンス・ダンスミュージックになってる。

テンテンコさんやΦononレーベルの音源が大好きな私がなぜ山際さんの作る音や音楽にこれほど惹かれるのか分かった気がする。共通項あるわ。(・∀・)

山際さんの普段のギター演奏とは全く違う一面と原点を知ることができるとても面白い音源集。こういうあまりギターがメインにならない音響系の楽曲だけで構成されたアルバムも新作でほしいなぁ。← マニアな意見(゚∀゚)

なお1曲目「侵入」は2015年発表のCD-R『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』収録の「Watet Front」のオリジナル・バージョン。オリジナルの方はギターが単音でシンプル。
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3曲目「Steam」の冒頭スチーム音部分だけが切り取られ「Crack」と名前を変えて『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』1曲目に収録されている。ちなみに「Steam」の方はこのあとグルーブ感のあるビートの効いたテクノへと展開。

4曲目「」は血と雫の1stアルバム収録の「gitarre instrumental #1」の原型。

昨年6月のソロライブでも演奏された9曲目の「夕暮れ(後半ギターが重ねられてだいぶアレンジが変わっていたけれど)。冒頭のギターが血と雫4枚目のアルバム『その雫が落ちないことを祈る』に収録されているギターインスト曲になんとなく似ているように思うのだけれど、ひょっとしてこれが元になったのかしら?あるいはここからインスパイアされたとか?どうだろう。