Mrs. Lamentの囁き

割礼/血と雫のギタリスト、山際英樹氏のギターが大好物♡

タグ:山際英樹

今週の火曜日は久方ぶりに下北沢 leteへ。まだまだ新型コロナに警戒しないといけないからおいそれと外出したくはないけれど、なんたってこの夜は山際英樹西脇一弘デュオのライブだからね。そりゃあ行かざるをえまいて。(* ̄∇ ̄*) 
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前回このデュオのライブを観たのは2月26日。場所は同じくlete。つまりどちらも4か月とちょっとぶり。そして配信ではない生のライブを観るのは3月28日以来。その時は血と雫でしたね。はからずも山際さんで閉じたライブ活動を山際さんで再開出来たのなんか感慨深い。端的に言って嬉しい。( ꈍᴗꈍ)

営業自粛中の店内の様子は滝本晃司さんの配信ライブで2回ほど見ていたけれど、そこからさらに変化していた。びっくりした。以前西脇さんの風景画のあった所には大きなキルトが掛けられ、右の壁面にあった大きな絵と天井の存在感ある木々のオブジェが無くなっていた。あちこちに掛けられていた西脇さんのイラストも見当たらない。全体的にぐっとシンプルになっている。そして極めつけは演者と観客を仕切る大きて厚いビニールカーテン!飛沫感染の予防のためだ。
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                                     ☆右の静物画のあった所にはセトリが。書き込み多い!
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オールインストだからMCは挨拶程度、あとはひたすら演奏を聴かせる。一方の観客側も身じろぎもせず、ただただ無言でじっくりと音に耳を傾ける。開演前も休憩中も誰一人喋ることもなく、演奏終了後は誰も彼も早々に会場を後にした。知人とも軽い会釈と小声で二言三言のみ。たいそうクリーンな空間でありました。 

ビニールシート越しに観る演奏はなんだか硝子の水槽の中みたいでなかなかシュールだったな。近いのに隔たっていて、同一空間なのにあっちとこっち。不思議な感覚。面白い距離感。
 
                   ☆西脇さんのギターとエフェクター
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☆山際さんのギターとエフェクター
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西脇さんがとても楽しそうに演奏されていたのがとても印象的だった。山際さんも西脇さんもお客さんを前にしての演奏は3月が最後だったそう。それ以来ライブは自粛続きで、このライブも元々5月25日に開催予定だったのが延期になっていた。でも中止になったライブもたくさんあったから、延期しても開催されるだけラッキーなのである。西脇さんの次の予定は決まっていないし、山際さんの今唯一決まっている8月の割礼もできるかどうか定かでない。いつまたライブができなくなるかもしれない、そんなご時世・・・もしかしたらもう二度と山際さんの演奏が観られないかもしれん。正直そんなことが頭をよぎったりもする。だからお二人が元気にいつものように演奏しているということが、ただそれだけで嬉しかった。(◡ ω ◡) そして今夜再会できた友達も変わりなくて良かった。このささやかな幸せと喜びがこれからも続きますように。祈るほか無し。

新型コロナが地球上のあちこちで猛威を振るっている最中の3月。山際さんのライブは図らずもアコースティック・デュオとオリジナルのバンドという二つの形での血と雫楽曲の演奏となった。

まずは3月19日(木)阿佐ヶ谷ハーネスにて昨年9月7日以来の森川誠一郎+山際英樹 duo のライブ。
この夜についての山際さんのブログはこちら。⇒ http://yamagiwa3.blog27.fc2.com/blog-entry-368.html
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二部構成で血と雫の4枚目のアルバムから1枚目のアルバムまで順を追って遡る構成。前回同様Matsuda Azusa氏の投影する雲の画像と歌詞を背景に演奏が進む。MC少なめで曲紹介も無し。密やかなクラシックギターの調べと言霊のような歌だけの、一切の無駄が削ぎ落とされた純然たる音の世界はとても静謐で、空や宇宙を思わせる映像とも相まってふと浄夜という言葉を思い出してしまった。
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28日はエレキギターをぶちかますとブログで宣言されていたので、楽曲のダイナミックになるであろう変化がとても楽しみ。

そして迎えた3月28日(土)。何日も迷いに迷った末、千駄木Bar Issheeへと向かう。会場に着いてもなお、果たしてこれは正しい選択なのかと迷い続ける。なぜ迷ったのか。新型コロナウィルス感染者の増加に歯止めがきかず、東京都知事から緊急に週末の外出自粛が要請されたからではない。新型コロナウィルスのステルス性と無症状感染者の存在 ― 感染しているにもかかわらず、時には肺炎まで併発しているのにもかかわらずPCR検査は陰性で胸部レントゲンでも異常が認められないケースが少なくない。おまけに無症状でも感染率は変わらない。― を危惧したのである。体調はいたって万全ではあるけれど、自分がクリーンである保証は何一つない。よしんば感染者ではないにしても、お店まで移動する道程で自分の手や衣服が汚染され、お店にウィルスを持ち込むかもしれない。演奏を聴きたいという自分のわがままのせいでお店や出演者や他のお客さんに迷惑をかけることになったらどうするのか。大切な山際さんが感染したらどうするよ。一生後悔するわ。。・゚・(ノД`) 悶々・・・ 演奏には集中して楽しんではいたものの、一度芽生えてしまった疑問符が消えることはなく、だからライブが終わっても手放しで良かったと喜ぶことは正直できなかった。
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この夜は元々高橋幾郎氏はメノウというバンドで、森川さんと山際さんはデュオで演奏するはずだったが、新型コロナの影響で高橋さん一人が上京。結果的に血と雫として演奏することになったそう。森川さん、山際さん、高橋さんの3人によるバンド形態の血と雫は2016年の恵比寿BATICA以来らしい。うーん、やっぱりこのオリジナル編成が一番実験的で面白いや。山際さんのルーパー使いが見られるのとオクターバーが大活躍するのもこの形態のみで、そこも個人的にはポイント高い。(ソロの時の演奏にかなり近いスタイル。)
        ★黒のMoonのギターも超久々。
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それにしても死の存在をとても身近に感じる今聴く血と雫はリアリティあるよな。同じ曲なのにこれまでとは受け止め方がだいぶ異なる。これまで抱いていた幻想的という一言では片付けれない切実さというのかな。上手く言えないけれど… ポスト・パンデミックにおける血と雫楽曲の有り様は自分の中でかなり変容するかもしれんな。そんなことをふと思ったりした。

この夜の裏話も書かれた山際さんのブログはこちら。⇒ http://yamagiwa3.blog27.fc2.com/blog-entry-369.html

会場ではできるだけ喋らず(本当は全く会話しないつもりだったけれど、二言三言は交わさざるを得なかった。)、できるだけ触らず、ライブが終わったら速攻で帰宅の途についた。

帰宅してから事態が収束するまでもうライブも含めたお出かけはやめにしようと心に決めた。4月の山際さんのソロライブも行かない。大切な人を守るためには Stay Home しかない。そう思っていたところ、4月に入ると次々とライブが中止になっていった。山際さんのソロも割礼のライブも延期、あるいは中止になってしまった。とても残念だ。キャンセルの続くお店のことも心配。でも同時にほっとしてもいる。

次に山際さんの演奏を観られるのはいつになるのだろうか。その日まで皆様無事でありますように。
阿佐ヶ谷ハーネスの支援に通販でドリンクチケットたくさん買った。これからTシャツも出るみたい。できるだけのことをしたい。
阿佐ヶ谷ハーネス通販 ⇒ https://harness-online.stores.jp/


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1983年から2012年までに作られた楽曲が収録された山際英樹氏の自主制作ソロ作品集『Octave 』。
私が山際さんの存在を知った2014年7月にはすでに入手不可になっていたので、多分2012年から2014年春までの間に発表されたと思われる。それを幸運にも先日ようやく入手した。

これ、ギタリストのソロ作品だからとギター演奏を期待したら肩透かしを食らうやつだわ。全9曲のうちガチでギターを弾いているのは3曲ほど。不穏な2曲目「Nightmare」とかめっちゃかっこよい踊れるダークテクノじゃないか。その次の「Steam」もフィールドレコーディングのサンプリングから始まるビートの効いたダンサブルなダークアンビエントテクノ!反復するビートはベースかね? 5曲目「Drips」に至ってはタイトルどおり延々と滴る水音に車の走行音やモーターや時を刻む時計を思わせる音が重なるインダストリアル・アンビエントな作品。

20代で作った曲も収録されているけれど、これらもやっぱりテクノの趣だ。7曲目の「Walk」なんてガムランみたいな鳴り物をバックに重低音のビートと多彩な機械音やノイズが散りばめられてていい感じのインテリジェンス・ダンスミュージックになってる。

テンテンコさんやΦononレーベルの音源が大好きな私がなぜ山際さんの作る音や音楽にこれほど惹かれるのか分かった気がする。共通項あるわ。(・∀・)

山際さんの普段のギター演奏とは全く違う一面と原点を知ることができるとても面白い音源集。こういうあまりギターがメインにならない音響系の楽曲だけで構成されたアルバムも新作でほしいなぁ。← マニアな意見(゚∀゚)

なお1曲目「侵入」は2015年発表のCD-R『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』収録の「Watet Front」のオリジナル・バージョン。オリジナルの方はギターが単音でシンプル。
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3曲目「Steam」の冒頭スチーム音部分だけが切り取られ「Crack」と名前を変えて『Yamagiwa Hideki 2009 - 2012』1曲目に収録されている。ちなみに「Steam」の方はこのあとグルーブ感のあるビートの効いたテクノへと展開。

4曲目「」は血と雫の1stアルバム収録の「gitarre instrumental #1」の原型。

昨年6月のソロライブでも演奏された9曲目の「夕暮れ(後半ギターが重ねられてだいぶアレンジが変わっていたけれど)。冒頭のギターが血と雫4枚目のアルバム『その雫が落ちないことを祈る』に収録されているギターインスト曲になんとなく似ているように思うのだけれど、ひょっとしてこれが元になったのかしら?あるいはここからインスパイアされたとか?どうだろう。

2月最後の割礼は三軒茶屋 Heaven’s Doorの恒例企画【Lyric Poetry】。
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宍戸さんがTwitterで1時間演奏すると予告されていたうえに、対バンがこれまた大好きなシクスシクスと、いろいろな方から絶対観ておいた方が良いよと言われていた噂の魚住英里奈だったので期待はいやがうえにも高まる。そしてその期待は裏切られることなく全部ばっちりツボにはまって良かった~。楽しかったわ~♪ (*゚▽゚*)

魚住さんは初めて観たのだけれど、なんかこう魂を削るような歌うたいの方だったな。脆くて壊れそうなのに切れ味鋭い刃物みたい。ギターの流麗さにハッとした。噂どおり要注目だな。

割礼は全6曲。ライブが押しまくっていたのでアンコールは無し。
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久しぶりに「マリブ」と「君の写真」聴けた~。「君の写真」なんて年に1度くらいのペースよねぇ。レアだわぁ。

ルシファーの悲しみ」は躍動感あったなぁ。音が跳ねてたものなぁ。割礼を見始めた頃(約5~6年前)はひたすら遅いというイメージしかなかったから、躍動感という言葉が出てくるなんて当時は思いもしていなかったわよねぇ。

それにしてもラスト曲の「オレンジ」は終わることなく一生続くのではないかと思いましたよ。多分これまで聴いた中で一番の長さだったんじゃないかな。めくるめく音の渦に飲み込まれて時間の感覚と共に五感も麻痺しかけたわ。もういっそこのまま現実に戻らんでも良かったわ。(*´ω`*)
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山際さんの足元。
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前々日の西脇さんとのデュオの時のセットのうちIbanezのオーバードライブZ-VEXのSuper Duperに代わっただけであとは全く同じ。割礼で山際モデルのINTERSTELLAR OVERDRIVEを見るのほんと久しぶり。丸みのある良い音鳴ってたなぁ。(*´ω`*)  エフェクターボードの中に2種類のスライドバーが置いてあったけれど、「君の写真」では長めの、「アキレス」では若干短めのを使い分けていた模様。(Twitterの方に「マリブ」と書いてしまったけれど、正確にはうえのとおり。間違えてしまった。。゜゜(´□`。)°゜。)以前聞いた話では短いスライドバーはコードが押さえやすいのだそうな。「アキレス」の方がスライドバーをつけっぱなしでコードを弾く場面が多いからこのサイズなのかしら。「君の写真」では小刻みなメタリック音が聴こえたけれど、これは水曜日の西脇さんとのデュオの時に現れた音に似ていたわね。デュオやソロで試された音作りがこうしてバンドサンドにも反映されていくんだなぁ。

2月はソロセッション、デュオ、バンドと三形態の山際さんのギター演奏を観ることができたとても贅沢で濃密な月だったな。そんな山際さん月間も終わってしまった・・・ちょっとロス・・・なんてこともなく、来月は森川誠一郎氏とのデュオが2本控えている。(19日のハーネスと28日のBar Isshee)森川さんとのデュオも最近はなかなかレアになりつつあるので嬉しい限り。山際さんは黒のMoonかはたまたクラッシックギターか。どちらにしても楽しみである。(*´∇`*)


2月の山際さんのライブは14日(金)16日(日)、そして26日(水)と28日(金)。2週に分けて2回の1日おきのライブ。それぞれセッションと割礼とデュオと割礼。バラエティに富んでてファンとしては何とも贅沢な月であった。これでソロがあったら完ぺきだったなぁ。(贅沢を言ってはいけない~ ( ̄ー ̄))

2月の日程3回目は下北沢 leteで11月以来の山際英樹西脇一弘デュオ。
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山際さんの足元はこれまでのデュオともソロとも全く違った組み合わせ。Z-VEXのファズとブースター両方がいっぺんに外されたのは西脇さんがZ-VEXのファズを使っている兼ね合い?今回ファズの役目を担ったのは割礼で常設中のRoger Mayer VOODOO-AXEでした。Ibanezのオーバードライブはレアだなぁ。これまでどの演奏形態でもほとんど見たことがない。前回から投入されたINTERSTELLAR OVERDRIVEはこのまま定着かしら?
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西脇さんの足元はこちら。ループを掛けるのはもっぱら西脇さんの担当になりましたね。
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今回山際さんと同じく西脇さんもアーム付きのストラトだったのもこれまでと変わった点。
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冒頭スライドバーを持ったので割礼でも良く聴くトロピカルな感じの音を予想していたら、細かな金属片が降って落ちて鳴るようなメタリックな音や電子パルスのような音が聴こえてきてびっくり。ソロや割礼の時にも鳴らされるスライドバーを使った水琴窟のような音ともちょっと違った新しい音。山際さんのソロ演奏では毎回こうした新たな音の発見があるなぁ。だからこそ興味が尽きない。
(↓ スライドバー使ってます。)
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後半西脇さんのギターからファズを使った電子音みたいなノイズが出ていたのにもちょっとびっくりした。西脇さんのギターは水彩画のように淡やかで繊細な音のイメージが強いので、こんなノイズを山際さんではなくて西脇さんが出していたのがとても新鮮。一方いかにも西脇さんが弾きそうな端正なメロディを山際さんの方が弾くのも結構珍しいなと思う。こうしたお二人の意外性のある関係性も面白い。それにしても一昨年11月の初めてのデュオ演奏からは随分と雰囲気が変わったなぁ。毎回新曲も披露されているし、お二人の進化/深化から目が離せないな。

ゲストはhofli名義でも活動されている津田貴司氏。
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津田さんの足元はこちら。ボリュームペダルとルーパーとディレイ2台。ERNiE BALLのボリュームペダルは山際さんと同じやつ♪ 譜面台に置かれているのは木材の軸にスーパーボールが取り付けられたお手製のバチ。これで弦を擦るとしゃらしゃらとさざ波だったような金属音が鳴る。
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即興でも星形の庭でもないソロ楽曲を演奏する津田さんのを観るのは数年ぶりかも。足元のエフェクターと指だけでなく、チェロの弓やスーパーボールを組み合わせて生み出される厳選された音はとても心地良くて浮世のうさを忘れました。前の週の星形の庭での演奏の時にも感じたけれど、津田さんのギターの音はテクスチャーが繊細で立ち込める馥郁たる香りのようだわね。( ꈍᴗꈍ) 

選び出された一つ一つの音を丁寧に紡ぎだしては重ねていく。音と音の隙間や余韻といった細部にまでもこだわりがある。そんなとことん気を配った音作りを得意とするギタリストの集った上質な味わいの一夜でした。

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